2024.03.19
コラム歯医者での定期メンテナンス
こんにちは。山梨県南都留郡富士河口湖町の歯医者、井ビシ歯科医院(いびし)です。
日本の歯科医院のメンテナンス普及率は、約6%ほどと言われております。
先進国に比べて、日本には、定期的にチェックやメンテナンスのために歯科医院に通うという文化が浸透しておりません。
「スウェーデンなどの歯科先進国との違いはどこにあるのか?」という課題が、今後の日本の歯科治療の課題となっているのです。
もちろん保険制度の問題もありますが、口腔ケアの重要さは国が変わっても同じことです。歯を長持ちさせるには準備が必要です。これからお話しすることはその「準備」の話です。
口腔の健康も、まさに「備えあれば憂いなし」です。
目次
わずか2%のメンテナンス率の原因は?
日本の歯科医療は、歯科予防先進国に比べると、予防・メンテナンスという意識がまだまだ浸透していません。
予防のために歯科医院へ行く人は、全国平均でわずか6%程度です。この数字が、いかに日本の歯科医院に予防・メンテナンスが定着していないことを物語っています。
以前アメリカで発表されたデータによれば、「アメリカ人の死亡原因は、生活習慣に問題があるものが50%、環境の悪さと遺伝によるものが各20%、そして10%が医療の不備によるもの」とされています。
日本人の生活も欧米化が進み、アメリカのこのデータは私たち日本の歯科医療にも当てはまっていくかと思います。今まで日本の歯科医院は、わずか10%の医療の不備に着目し奮闘してきました。
そして50%の生活習慣による病気の発症を疎かにした結果が、わずか6%のメンテナンス率という数字なのです。
冒頭に触れたように、保険制度の違いも根本的にあります。それについては、また別のコラムにてお話ししていく予定です。
歯を失う原因は虫歯が一番でない
日本人の歯の平均寿命は約60年(萌出から抜け落ちるまで)ということをご存知でしょうか。
また、歯を失う原因は何にあるのでしょうか? 多くの方が虫歯と答えると思ますが、実際歯を失う原因の約56%が歯周病で、虫歯は30%です。
実に歯周病は虫歯の2倍にもなりますが、これには理由があります。
虫歯になると「しみる」「ズキズキ痛い」といった自覚症状があるため、歯科医院を受診します。そのため虫歯の進行が抑えられ、抜歯に至るケースは意外と少ないのです。
歯周病は知らぬ間に進む
一方、歯周病はたいてい症状が潜伏したまま進行します。歯みがきをすると血が出る、オクチの中がネバネバするという自覚症状を感じたら中等度の歯周病の状態です。
指で押すと歯が動いたり、歯ぐきから臭い膿がでたりしたら、重度の歯周病であることがほとんどです。
つまり、手遅れに近くなった段階で歯科医院を受診するケースが大多数です。その結果、長い時間をかけて治療をしても、歯の延命処置が精一杯ということが多いのです。
ですから歯周病には早期発見、早期治療が必要なのです。
歯周病の進行の仕方
歯周病を簡単に表現すると「歯を支えている骨が溶ける病気」です。
骨が溶けて歯が抜け落ちるまでの流れを見てみましょう。
毎日の歯みがきをして取り除けるバイ菌は約60%です。実に40%が歯に付着したまま残されています。この40%のみがき残しが、歯のつけ根に付着して石のように硬く固まった状態が歯石です。この歯周病菌(バイ菌)から分泌される毒素によって、歯を支えている骨が溶けていくのです。
歯周病の最も怖い点は、「一度溶けてしまった骨は二度と戻らない」ことです。
歯科医師と歯科衛生士が一生懸命に治療を行っても、歯周病の進行を止めるのが精一杯で、本当の意味での完全治癒は現在の歯科医療ではむずかしいことです。
早期発見、早期治療が大切
そのため歯周病は、早期の発見、早期の対応が絶対条件になります。それでは進行してしまった歯周病は、どうしたらいいのでしょうか?
基本的な考え方として、進行の原因となる歯石をすべて取り除くことです。単なる歯肉炎であれば、家庭でのブラッシングやフロッシング(デンタルフロス)と歯のつけ根や歯肉周囲のみの歯石取りで十分なのですが、初期から中等度の歯周病になると、歯肉の最も深い部分、歯周ポケット内に付着した歯石を取り除かなければ進行は止まりません。
山梨県富士河口湖町の総合歯科医院
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