新着情報

2024.03.11

コラム

噛み合わせが歯の寿命に直結する Part2

噛み合わせ

こんにちは。山梨県南都留郡富士河口湖町の歯医者、井ビシ歯科医院(いびし)です。

皆さんは「8020運動」という日本歯科医師会のビジョンをご存知でしょうか?
「80歳で20本の歯を残そう」という歯科医師会の目標を意味しています。

この目標とは別に、公的機関が調べたデータによると、80歳で20本の歯が残っている人を対象に歯並びと咬み合わせの状態を調べたところ、受け口など悪い歯並びの人がいなかったことからも、長期的な歯の健康について、正しい歯並びと咬み合わせがいかに大切であるかが実証されています。
しかし、残念なことに欧米に比べて日本では、咬み合わせや矯正治療については大変関心が低いのが実状です。歯並びは見た目だけでなく、全身の健康にも影響してきます。

前回に続いて、歯並びと咬み合わせについてお話しします。近年では、マウスピース矯正などのトラブルが多数報道されています。大切なご自身やお子さんの歯をつくっていく治療だからこそ、安心・安全に治療を受けるためには、経験・実績があり、しっかりと説明いただける歯科医院での矯正治療をお勧めします。

特に大学の矯正分野に所属もしたこともない、矯正の認定医や専門医でもない歯科医師がおこなうマウスピース矯正には注意が必要です。

目次

前回

1.正しい噛み合わせとは

2.歯列不正が及ぼす悪影響

今回

1.正しい噛み合わせは虫歯と歯周病を予防する

2.噛み合わせと矯正治療は全身の健康にもつながる

正しい噛み合わせは虫歯と歯周病を予防する

むし歯

正しい噛み合わせで注目すべき点は、虫歯や歯周病になりにくいことです。
歯並びがデコボコしていたり、歯が重なって並んでいたり、外側や内側に並んでいたり、倒れていたり、咬み合わせる相手の歯が抜けたままだったりなどの歯列不正があると、歯みがきもしにくく、虫歯菌や歯周病菌が停滞しやすい状況をつくってしまいます。

歯列不正な状況とは、オクチの中の約400種類いる細菌に対して住み心地の良い住宅を提供しているだけでなく、借地権まで与えてしまっているようなものです。

家の中をぐるりと見回してください。埃の溜まりやすいところ、害虫が発生しやすいところはどこでしょうか?冷蔵庫の下や本棚と壁の隙間など掃除がしにくく不潔になりやすいところです。
それと同様に、歯並びの悪いところも不衛生になりやすく、細菌達の集合住宅になりやすい場所といえます。若い頃は体の免疫力が高いため、あまり問題ないのですが、中高年になると歯並びの悪いところから虫歯や歯周落になるケースが多くなってきます。

歯周病

歯列の不正が虫歯や歯周病の原因になることも少なくありません。しかし成人を過ぎると、年齢を理由に矯正治療や咬み合わせ治療にも積極的ではなく、ますます虫歯や歯周務から歯を救うことが困難になっていきます。このような経過をたどる多くの方は、若い頃に歯並びを治しておけば良かったと後悔されているケースが多いことを知っていただきたいと思います。

歯並びを正しく治すということは、オクチの中をバリアフリーにすることです。それによって、オクチの中の自浄作用が高まり、虫歯や歯周病の最良の予防処置となります。
「細菌のコントロール」ができると口臭の予防にもなり、健康なオクチになります。

噛み合わせと矯正治療は全身の健康にもつながる

歯科矯正 イメージ

矯正治療による咬み合わせの改善がもたらすメリットは、オクチの中だけでなく全身的な、そして精神的な健康にも影響を与える場合があります。

悪い咬み合わせはアゴの運動のバランスを崩し、オクチの周囲の筋肉に異常な緊張を生じさせてしまいます。その結果約6kgある頭の位置がずれ、さらに、頚椎、脊髄のズレを生じさせ、頭痛、耳鳴り、肩こり、腹痛等、身体的不調を生じさせることもあります。

また、正しい舌の動きができないため、滑舌 (=ろれつ)が悪くなる場合もあります。

口元の見た目にもコンプレックスがあると、全てに消極的になりがちです。しかし、歯並びの改善により、「人前でも自信を持って、話せるようになった」「口を開けて笑えるようになった」「性格が前向きになった」など、矯正治療終了後、多くの患者さんがこのような感想を持つようになります。

また、正しい咬み合わせによってしっかりと食べ物を噛み砕き、味わうことで、胃腸の負担も軽減されます。そればかりか脳が刺激を受け、味覚の形成ができ、知能の発達や運動能力、視力の向上にもつながります。

このように身体の本来の機能を十分に発揮、発達させるには、上下とも美しく正しく並んだ歯並びが必要であり、さらに上下の咬み合わせが適合していなければなりません。

矯正治療を行うのに、始めるのに遅すぎる年齢はありません。成人矯正にて60代、70代からスタートされて、正しい噛み合わせで口腔全体の健康を回復される方も多数おられます。
最適な咬み合わせと美しい歯並びは、オクチの健康に留まらず、全身の健康も良好な状態に導いてくれます。

▶︎前回のコラム「噛み合わせが歯の寿命に直結する」はこちら

▶︎その他のコラムを見てみる

著者写真

この記事を書いた人

井ビシ歯科医院

井出 太一

日本歯科大学生命歯学部を卒業、現在は井ビシ歯科医院に務める。

井出 太一先生について詳しくはこちら