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2024.03.04

コラム

噛み合わせが歯の寿命に直結する

食事

こんにちは。山梨県南都留郡富士河口湖町の歯医者、井ビシ歯科医院(いびし)です。

皆さんは「8020運動」という日本歯科医師会のビジョンをご存知でしょうか?「80歳で20本の歯を残そう」という歯科医師会の目標を意味しています。
この目標とは別に、公的機関が調べたデータによると、80歳で20本の歯が残っている人を対象に歯並びと咬み合わせの状態を調べたところ、受け口など悪い歯並びの人がいなかったことからも、長期的な歯の健康について、正しい歯並びと咬み合わせがいかに大切であるかが実証されています。
しかし、残念なことに欧米に比べて日本では、咬み合わせや矯正治療については大変関心が低いのが実状です。

歯並びは見た目だけでなく、全身の健康にも影響してきます。近年では、マウスピース矯正などのトラブルが多数報道されています。

大切なご自身やお子さんの歯をつくっていく治療だからこそ、安心・安全に治療を受けるためには、経験・実績があり、しっかりと説明いただける歯科医院での矯正治療をお勧めします。

特に大学の矯正分野に所属もしたこともない、矯正の認定医や専門医でもない歯科医師がおこなうマウスピース矯正には注意が必要です。

今回は、歯並びと咬み合わせについてお話しします。

目次

1.正しい噛み合わせとは

2.歯列不正が及ぼす悪影響

正しい噛み合わせとは

歯 健康

美しい歯並びは見た目でわかりやすいのですが、それでは、正しい咬み合わせとはどういう状態なのでしょうか?美しい歯並びについては、芸能人やスポーツ選手の笑った時の歯並びを思い浮かべるかもしれません。ただ正しい噛み合わせはイメージしづらいものです。
できるだけ分かりやすい例えで説明してみます。

歯の咬み合わせは親知らずを除いて、上下14本対14本、合計28本の歯で成り立っています(親知らずも理想的な方向で萌出して、噛み合わせに関与して、32本で成り立つ方もいます)。
悪い歯並び(以下、歯列不正と呼びます)の代表的なパターンとして、出っ歯、受け口、デコボコの歯並び、開口(前歯が咬み合わず少数の奥歯のみの咬み合わせ)があげられます。当院の診療項目の「矯正治療」にも詳細に説明しております。

正しい咬み合わせでは、14本対14本、合計28本で上下の歯が接触するのに対し、歯列不正においては、28本中12本のみの咬み合わせや、上下の歯が8本しか咬み合わせていないケースも珍しくありません。こういった咬み合わせ不良は、口や顎など、口腔周辺全体や、体の健康にも全身の健康にも大きく影響します。

良い噛み合わせ

上下各14本の歯をラグビーで例えてみましょう。
ご存知のように、ラグビーは15人対15人で80分間行われるスポーツです。
咬み合わせでも同じことが言えます。
人間の噛む力は、その人の体重と同じくらいと言われています。仮に噛む力が60kgだとすると、60kgの圧力を14本対14本、合計28本の咬み合わせで受け止めるのが理想です。
これが28本中正しく咬み合っている上下10本だけの歯で60kgの圧力を長い間受けていたら、10本の歯は痛みとともに早いうちにダメージを受けて、とても80才まで維持することは難しいと思います。

歯が抜けていたり咬み合っていなかったりする歯列不正は、ラグビーを15人対10人で行うようなものです。つまりラグビーの最低限のルールとも言える、戦う選手の人数が違うのですから、勝負にならないことは容易に想像できるかと思います。
それはともかくとして、このような状況でゲームを行ったら、10人のチームは負けてしまうばかりか
、80分間走りきることも難しいのではないでしょうか?

ラグビーで例えましたが、正しい咬み合わせと美しい歯列とは、ラグビーの試合で、両チームが選手を15人揃えてゲームをするという当たり前のことを意味します。
15人の選手を揃えることで、上下28本の歯を1本でも多くみ合わせに参加させ、「噛んだ時に歯に伝わる力のコントロール」をしやすくするのです。

その結果、しっかりと食べ物を噛み砕くことができるようになり、脳が刺波を受け、感情も豊かになり、知能が発達し、記憶力が向上し、老化を遅らせ、美容にも良い効果がでてきます。

歯列不正が及ぼす悪影響

歯列不正が虫歯や歯周病にとっては好都合です。これについては次回のコラムでお話ししますが、歯列不正は虫歯歯周病以外にも体には悪影響を及ぼす因子であるのです。

バランスの悪い噛み合わせが続いてしまうと、下顎を支える、顎関節にも当然悪影響を与えます。
左右の噛み合わせのバランスが崩れていると顎関節症や肩こりの要因となります。また歯列不正があると、咀嚼がうまく行えずに、状態によっては食べ物を丸呑みするようになってしまいます。結果、食道から胃、小腸大腸といった消化器官にも負担がかかってしまうのです。

▶︎次回のコラム「噛み合わせが歯の寿命に直結する Part2」はこちら

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この記事を書いた人

井ビシ歯科医院

井出 太一

日本歯科大学生命歯学部を卒業、現在は井ビシ歯科医院に務める。

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