新着情報

2024.03.25

コラム

歯医者での定期メンテナンス Part2

井ビシ歯科医院 歯医者 定期メンテナンス

こんにちは。山梨県南都留郡富士河口湖町の歯医者、井ビシ歯科医院(いびし)です。

日本の歯科医院のメンテナンス普及率は約6%ほどと言われております。先進国に比べて、日本には、定期的にチェックやメンテナンスのために歯科医院に通うという文化が浸透しておらず、歯科医師としてスウェーデンなどの歯科先進国との違いはどこにあるのか?と頭を悩ませます。

もちろん保険制度の問題もありますが、口腔ケアの重要さは国が変わっても同じことです。
歯を長持ちさせるには準備が必要です。これからお話しすることはその「準備」の話です。

口腔の健康も、まさに「備えあれば憂いなし」です。

目次

前回

1.わずか2%のメンテナンス率の原因は?

2.歯を失う原因は虫歯が一番でない

3.歯周病は知らぬ間に進む

今回

1.歯周ポケットとは?

2.歯周病が進んでしまったら

3.重度歯周病への対応

歯周ポケットとは?

歯周ポケット

歯周病が進行し、歯を支えている骨が仮に4ミリ溶けたとすると、歯肉と歯の根の間に4ミリ相当の隙間ができます。これが歯周ポケットです。
この4ミリの隙間に歯石や細菌が堆積されるため、歯周ポケット内の歯石取りはとても重要になります。

当院のほとんどの患者さんは、歯石取りとブラッシング指導、そして歯面清掃をすることで、4ミリ以内の歯周病は改善しています。歯周病の進行は徹底した原因除去以外には改善する方法はありません。

歯周病が進んでしまったら

歯周病 進行

それでは歯周病が中等度から重度の場合(5ミリ~8ミリ)はどうなるのでしょうか?

抜歯をしないで、治療によって歯を残すケースについてお話ししましょう。
まずすべての歯周病治療の基本は、家庭での歯みがきです。歯科衛生士のブラッシング指導に基づいてできれば理想ですが、難しいようでしたらできるだけゆっくりと時間をかけて、やわらかい歯ブラシでペンを握るように力を抜いてみがいてください。歯肉の血行歯周が中等度や重度のケースになると、歯周ポケットが深く、歯石を完全に取り除くことが大変困難です。また、深い歯周ポケットは、歯周病菌の絶好の棲みかとなり、歯周が進行しやすい条件が揃ってしまいます。爪が長く伸びると、爪の内部に汚れが溜まりやすくなるのと同じです。こういった場合、歯周ポケットも伸びた爪と同じく、深いものは切除を行うこともあります。

しかし、当院では米国の歯周病専門医から直接指導を受け、なるべく外科的処置はせずに、8ミリ程度の深さのポケットの歯石も除去する技術によって、歯周病の改善を試みています。
その後6ヶ月を経過しても症状に改善が見られない場合は、人工的に、溶けてしまった歯槽骨の再生も試みています。

重度歯周病への対応

さらに進行した歯周病は、歯を支える骨の絶対量が不足するため、単独では噛む力に耐えられなくなります。
歯周ポケット8ミリ以上の重度の場合は、多くは抜歯の対象になります。時には歯周ポケット、歯茎の根元の歯石除去を行って経過を見る場合もあります。

運よく歯の動揺に改善が認められれば、咬み合わせの調整をし、プラスティック製のマウスピースをご使用いただき、メンテナンスを続けて経過を見ますがあまり期待はできません。

できるかぎり歯を抜かずに残す努力

歯周病は私たち歯科医師にとっても難敵です。歯周病菌は常在菌といって、人間が生きている限り、オクチの中に常に生息しているからです。

当院での「歯を残す治療」は、スタッフの総力戦です。そのため歯科衛生士はブラッシング指導や歯石除去などの歯周基本治療を担当し、日々奮闘しています。再生治療による歯周病の改善にも力を入れています。

しかし歯周基本治療がきちんとしていなければ、再生治療の効果も期待できません。CTにより歯周病を診断したり、従来の歯科医院では行ってこなかった科学的な方法を実施しています。

▶︎関連コラム「歯医者での定期メンテナンス」

▶︎関連コラム「歯周病と全身の健康との関係について」

▶︎関連コラム「むし歯や歯周病の対策」はこちら

著者写真

この記事を書いた人

井ビシ歯科医院

井出 太一

日本歯科大学生命歯学部を卒業、現在は井ビシ歯科医院に務める。

井出 太一先生について詳しくはこちら