2024.04.15
コラムあなたは今、どれくらい眠気を自覚していますか?
こんにちは。山梨県南都留郡富士河口湖町の歯医者、井ビシ歯科医院(いびし)です。
以下の8つの質問に対して「眠気の状況」を参考に、あてはまるものを0〜3点に点数付けしてください。その後数字の合計を出してみてください。
あなたの眠気の状態がチェックできます。
0:眠ってしまうことはない
1:時に眠ってしまう
2:しばしば眠ってしまう
3:ほとんど眠ってしまう
<質問>
①座って何かを読んでいるとき(新聞、雑誌、本、書類など)
②座ってテレビを見ているとき
③会議、映画館、劇場などで静かにすわっているとき
④乗客として1時間続けて自動車に乗っているとき
⑤午後横になって、休息をとっているとき
⑥座って人と話をしているとき
⑦昼食をとった後(飲酒なし)、静かに座っているとき
⑧座って手紙や書類などを書いているとき
あなたは今、どれくらい眠気を自覚していますか?
上記のアンケートで、あなたは何点ありましたか?
13点以上あると、眠気の自覚症状があるといわれています。
点数が高ければ高い程、眠気の自覚が強く、何かしらの睡眠障害の疑いが高くなります。
現在、睡眠障害の中で睡眠時無呼吸症候群 SAS (サス)が注目されています。
【参考文献】
PHILIPS 睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)SASガイドブック
監修:千葉 伸太郎先生
医療法人愛仁会 太田綜合病院記念研究所附属診療所 太田睡眠科学センター
・Findley L:Am Rev Respir Dis 1989:140:529
・Baldwin CM, et al. Sleep 2001:24:96-105
・Parish JM, et al. Chest 2003:124:942-947
目次
1.睡眠時無呼吸症候群とは(Sleep Apnea Syndrome:SAS)
睡眠時無呼吸症候群とは(Sleep Apnea Syndrome:SAS)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に呼吸が止まってしまい、それによって日常生活に様々な障害を引き起こす疾患です。
SASの重症度は、AHI(Apnea Hypopne Index)=無呼吸低呼吸指数で表し、一晩の睡眠を通して、1時間あたりの無呼吸や、低呼吸(呼吸が浅くなる状態)の頻度をもとに診断していきます。このAHIが5回以上認められ、日中の眠気などの自覚症状がある場合、SASと診断されます。AHIが5〜15回の回数であれば軽症、15〜30回が中等症、30回以上が重傷と診断されます。
SASの病態の多くは空気の通り道(気道)が塞がるまたは狭くなることによって起こる「閉塞型睡眠時無呼吸症候群(以下閉塞型SAS)」です。
今回のコラムではガイドブックに沿って、閉塞型SASについて説明していきます。
閉塞型SASの主な症状と原因
いびきをかく
いびきとは、睡眠中に空気の通り道(気道)が狭くなり、そこを空気が通る時にのど(頭)が振動することによって生じる音です。つまりいびきをかくということは、気道が狭くなっている証拠といえます。
なぜ気道が狭くなるのか…?
健常人であっても仰向けで寝ると重力により、舌や軟口蓋が気道を狭くしてしまいます。また睡眠という状態では、筋の緊張も緩んでしまいます。
①筋力の低下(加齢)
②舌が重い(肥満)
③顎が後退している、扁桃肥大がある、軟口蓋が長い(形態的問題)
といったことでも気道が狭くなったり、塞がったりしてしまいます。
また、④口呼吸になっていると舌は落ち込みやすくなります。
SAS患者さんの気道閉塞
鼻や喉に何らかの異常があると慢性的に気道が狭くなり、時には気道が塞がり呼吸ができなくなります。
寝汗をかく、寝相が悪い、何度もトイレに起きる…
閉塞型SASでは、無呼吸の間はいびきが止まり、その後あえぐような激しし呼吸や大きないびきで呼吸が再開するのが特徴です。あえぐような呼吸をすることによって、寝相が悪かったり寝汗をかいたりもします。また夜中に何度もトイレに起きるといったこともあります。
倦怠感や頭が重い…
呼吸が止まっている間は、酸欠を起こしているような状態になります。そのため、朝の起床時に頭が重いといったことも起こります。休むための睡眠が、無酸素運動をしているのと同じような状況になってしまいますから、全身の倦怠感や不眠といったことにも陥ることがあります。
日中の眠気…
SAS患者さんは、無呼吸から呼吸を再開させる度に脳が覚醒状態になるため、睡眠が分断してしまいます。
この脳の覚醒は、本人に起きたという自覚がありません。しかし脳の覚醒により、深い睡眠が得られなかったり、夢を良く見るといわれるレム睡眠がこまぎれになったりします。7時間ベッドに入っていたとしても、SASによって睡眠が分断されていると、睡眠時間が不足しているのと同じ状態になります。
閉塞型SASがもたらす社会的影響
SASによる日中の眠気のために、交通事故や災害事故を起こす危険性が高くなります。
2003年2月26日に、山陽新幹線の運転手が居眠り運転を起こす事例がありました。その後の検査により運転手がSASであることが判明し、SASへの注目が集まるようになりました。
また生活の質(QOL)を調査した結果から、SAS患者さんの軽症から中等症では「活力」が障害されており、重傷ではさらに広い項目のQOLも障害されることが報告されています。
居眠り運転による交通事故率は健常者の7倍も高いという報告もあり、SAS患者さんは健常者より交通事故率が高い傾向にあります。
次回も睡眠時無呼吸症候群についてお話ししていきます。
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