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2024.04.22

コラム

睡眠時無呼吸症候群について

睡眠時無呼吸症候群 イメージ

こんにちは。山梨県南都留郡富士河口湖町の歯医者、井ビシ歯科医院(いびし)です。

あなたは今、どれくらい眠気を自覚していますか?眠気の自覚が強い場合、何かしらの睡眠障害の疑いが高くなります。

現在、睡眠障害の中で睡眠時無呼吸症候群 SAS (サス)が注目されています。前回のコラムよりSASについて、解説しております。

PHILIPSのガイドブックに沿って、閉塞型SASについて説明していきます。

【参考文献】
PHILIPS 睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)SASガイドブック
監修:千葉 伸太郎先生
医療法人愛仁会 太田綜合病院記念研究所附属診療所 太田睡眠科学センター
* Findley L:Am Rev Respir Dis 1989:140:529
* Baldwin CM, et al. Sleep 2001:24:96-105
* Parish JM, et al. Chest 2003:124:942-947

目次

1.閉塞型SASの合併症

2.閉塞型SASの疫学

3.SASの検査

閉塞型SASの合併症

健康診断

もしSASを未治療で放置した場合

閉塞型SASがもたらすリスクを解説していきます。

【急性期のリスク】
・起床時の頭痛
・頭重、倦怠感
・集中力・記憶力の低下
・日中の眠気
・交通事故
・生産性の低下
・作業ミスによる労働災害

【慢性期のリスク】
・高血圧
・糖尿病
・心不全
・心血管障害
・夜間突然死
・脳梗塞
・認知障害
・発育障害

SAS患者さんにおける高血圧は健常人の1.37倍、夜間心臓突然死は健常人の2.61倍、脳卒中・脳梗塞は健常人の3.3倍高いといわれています。(Yaggi HK et al, N Engl J Med 2005;353;2034)

SASでは酸欠状態になり、少ない酸素を全身にめぐらそうとして心臓や血管に負担がかかります。この状態が長い間続くと、様々な生活習慣病の合併症を引き起こす可能性があります。
※心不全患者さんの30〜40%はSASを合併しているといわれています。

小児のSASにおいては、特に発育障害が問題となってきます。睡眠が障害されて、睡眠中に分泌される成長ホルモンの分泌が不足するためといわれています。呼吸が止まっていなくても、いびきをかいていることは、正常な呼吸とはいえません。

閉塞型SASの疫学

SAS

一般市民を対象とした調査より
AHI5以上+日中の眠気がある割合は、約200万人(男性3.3%女性0.5%全体で1.7%)ともいわれています。
肥満傾向にある40~60歳代の男性に多く、女性では閉経後に増加していきます。 ※ 睡眠呼吸障害Update. 2002.P.2-8 改変

肥満度:BMI(Body Mass Index)の求め方

体重(kg)-(身長×身長m)

BMIの値が25以上が肥満と言われています
肥満があるとSASを発症しやすく、重症化させます。しかし、肥満がなくても他の条件が重なることによってSASが発症します。
日本の10施設において治療が必要とされる群のBMIに関するアンケート調査を行ったところ、30%はBMIが25未満の肥満を伴っていないとの報告があります。※日本人は、肥満の程度が軽くても形態的問題からSASを発症しやすい人種といわれています。

SASの検査

SAS 検査

検査の流れ
★平成18年4月から診療報酬改定によりCPAPの治療効果判定をするために、6ヶ月に1回を限度として、保険診療が可能となりました。
※AHIが40以上、または20以上でCPAP治療となるのは、あくまでも保険診療によるものであり、これに限りません。

ポリソムノグラフィー(PSG検査)

専門の検査施設等に入院して確定診断を行います。様々なセンサーを取り付け、実際の睡眠の質(眠りの深さや分断の状態)の評価をします。

また、睡眠中の行動異常、不軽脈などの評価も行い、他の睡眠障害、合併症の有無について診断します。PSG検査は、専門の検査担当者が様々なセンサーを装着していくこともあり、入院して行なうことになります。また脳波という微細な信号を捕らえていくため、検査に適した部屋での入院となります。しかし痛みは全くありません。センサーも眠っている間に取れてしまわないようにしっかりと取り付けます。

パルスオキシメータ

指先にセンサーをつけて、血液中の酸素の状態と脈拍数を測定し、睡眠中の無呼吸を予測します。

簡易検査

呼吸の状態や血中の酸素の状態などを測定し、睡眠呼吸障害の程度(AHI)を求めることができます。AHIが40以上で眠気などSASの症状が明らかな場合、CPAP療法の対象となります。AHIが40未満であれば、さらに精密検査(PSG検査)が必要です。CPAP療法後の治療効果判定の検査として行なうこともできます。

次回のコラムでは閉塞型SASの治療法について説明していきます。

▶︎前回のコラム「あなたは今、どれくらい眠気を自覚していますか?」はこちら

▶︎井ビシ歯科の「コラム一覧」はこちらから

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この記事を書いた人

井ビシ歯科医院

井出 太一

日本歯科大学生命歯学部を卒業、現在は井ビシ歯科医院に務める。

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