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2023.12.25

コラム

歯周病と全身の健康との関係について Part2

歯周病

こんにちは。山梨県南都留郡富士河口湖町の歯医者、井ビシ歯科医院(いびし)です。

“歯周病は万病のもと”とも言われておりますが、今回も前回に続いて、歯周病の影響が及ぼす疾患について説明していきます。
歯周病を引き起こすのは、「歯周病菌」と言われる数百種類もの細菌群です。
この細菌たちは、口の中で留まるだけでなく、さまざまなキッカケによって、血管から入り込み全身へ循環したり、気管を通じて肺へ行き、肺の炎症の元になったりします。
そして全身の疾患にも大きく関連していることから、健康のためには歯周病対策は必須であることは周知の事実です。

今週のコラムでは、歯周病治療と糖尿病との関連について説明していきます。

目次

1.歯周病治療による糖尿病の改善

2.歯周病と動脈硬化症について

歯周病治療による糖尿病の改善

歯周病 治療

1997年の米国歯周病学会誌(Jounal of pepiodontorogy)に、Ⅱ型糖尿病患者(インスリン分泌低下を主体とするもの、日本人はⅡ型糖尿病患者が95%以上を占めると言われている)の歯周病を治療するとグリコヘモグロビン(HbA1c:ヘモグロビンエーワンシー)が改善し、糖尿病が改善されるとの報告が初めて出された。その後、25年の歳月を経て、現在はその証拠となる事実は、着実に積みあがってきています。

また、効果的な歯周治療によって、重度の歯周炎を発症したⅡ型糖尿病患者ではHbA1c値が0.5%から最大で1%程度改善することが判明しています。
HbA1cを1%低下させることで細小血管障害の発症を約40%、末梢血管の障害による四肢の切断や死亡を43%、それぞれ低下させることが可能であるとされています。すなわち細小血管障害に起因する合併症は効果的な歯周病治療により極めて効率的に予防できることを意味するのです。一方、大血管の障害に対しても、心筋梗塞で14%、脳卒中で12%低下させることが可能であることになり、細小血管障害ほどではないにしろある程度の予防効果があることになります。

また、これらを総合的に解析した結果、HbA1cを1%低下させることで糖尿病に関連した全死亡率も21%予防できるとしています。

当時、関西電力病院(清野裕院長、日本糖尿病協会理事長)では、歯周病専門の歯科医師と連携し、治療効果を上げています。
・歯石除去+ブラッシング → HbA1c0.4低下
・歯石除去+ブラッシング+抗生物質(局所)→HbA1c0.7低下
(糖尿病治療薬を使用した場合と同じ効果があったとされてます)

〇I型糖尿病(インスリン依存型糖尿病)とⅡ型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)

1型糖尿病

Ⅰ型糖尿病は小児期で発症することが多く、先天的に膵臓のランゲルハンス島β細胞が障害を受けインスリンが分泌されない状態です。Ⅱ型糖尿病は生活習慣病で、インスリンは分泌されても、インスリン抵抗性(作用を弱める力)が高いため、高血糖になってしまうもので、日本ではⅡ型糖尿病の方がほとんどを占めています。

日本糖尿病学会編 糖尿病治療ガイド(抜粋)
1. 基本的考え方
2型糖尿病はインスリン分泌低下やインスリン抵抗性をきたす素因を含む複数の遺伝因子に、過食(とくに高脂肪食)、運動不足、肥満、ストレスなどの環境因子および加齢が加わり発症する。1型糖尿病では、インスリンを合成・分泌するランゲルハンス島β細胞の破壊・消失がインスリン作用不足の主要な原因である。糖尿病の診断は1時点での血糖値のみからは行わず、「型」の判定にとどめ、別の日に行なった検査や他の自覚的所見も合わせて糖尿病と診断する。無治療な糖尿病における持続的高血糖は細小血管症や大血管症を引き起こし健康寿命の短縮を来たす。糖尿病治療の目標は、健康な人と代わらない日常生活の質(QOL)の維持と健康な人と変わらない寿命の確保である。

歯周病と動脈硬化症について

動脈硬化

動脈硬化とは、血管の老化などによって、血管が硬くなり脆くなる状態を指します。
若い健康的な血管は、弾性を有して、しなやかな状態ですが、年齢を重ねてきたり、様々な要因によって、血管の硬化が進んでしまいます。

血管に流れ込んだ歯周病菌の一種(ジンジバリス菌など)が作り出す毒素成分(内毒素)が、好中球やマクロファージといった免疫細胞に取り込まれて血液中を運ばれ、血管壁などで炎症性サイトカインの産生を促し、コレステロールの沈着や細胞傷害などを起こし、血栓形成に関与するのではないかと考えられています。

血管内壁のアテロームプラークからジンジバリス菌が検出されることや、血小板の豊富な血漿液に歯周病菌を混ぜると、菌が血小板に取り込まれ、血小板を活性化して大きな塊を作ることが確認されかつ、凝集した塊は小動脈を詰まらせるのに十分な大きさだったことなどが、このことを示唆しています。

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この記事を書いた人

井ビシ歯科医院

井出 太一

日本歯科大学生命歯学部を卒業、現在は井ビシ歯科医院に務める。

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