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2023.01.30

コラム

矯正について

こんにちは。山梨県富士河口湖町の井ビシ歯科医院です。

本日は「親知らず」についてお話しする予定でしたが、先日歯科矯正の治療費トラブルについてニュースになったので、今回は矯正治療についてお話しします。

引用:Google ニュース
https://news.google.com/search?for=%E7%9F%AF%E6%AD%A3%E6%AD%AF%E7%A7%91%E8%A8%B4%E8%A8%9F&hl=ja&gl=JP&ceid=JP%3Aja

報道でご覧になった方も多いかと思いますが、「実質無料で矯正治療が受けられる」との説明があったのにも関わらず、実際は高額な費用の負担がかかったまま、歯や顎の健康被害も残ってしまったことに対する訴訟がなされたとのことです。

詳細はまだ報道の限りであり、事実関係については裁判にて明らかになると思いますが、同じ歯科医療の中でこのような報道があるのは、とても残念なことです。また被害に遭われた方の会見を見ると、歯科医師としてやるせない気持ちになります。

今回の治療費トラブル以外にも、ここ数年は矯正治療、アライナー矯正におけるトラブルについて、ニュースで目にする機会が増えてきました。

「マウスピース矯正」「インビザライン」との言葉も馴染みのある文言となり、良くも悪くも矯正治療について、関心が高まってきております。

確かにデジタル技術の躍進によって、マウスピース矯正=アライナー矯正はここ10年ほどで身近なものになってきました。

最近では歯科医師が診療など直接的な介入はせず、インターネットで注文できる簡易的なものもあるようです。便利で簡単になり、それなりのニーズもあり成り立っているものであることもわかりますが、メリットばかりでないこと、内容をしっかり理解した上で考えていただきたい治療であることを、ここでは記載させていただきます。

そもそもアライナー矯正とは?

井ビシ歯科医院 マウスピース矯正

アライナー矯正は、弾力性を有する透明な薄いプラスチックでできたマウスピース状の装置を上顎や下顎に装着して、歯並びを矯正していく治療で、別名で「マウスピース矯正」とも言われております。

金具の器具やワイヤーを使わずに、マウスピースを1日20時間ほど装着し、1-2週間ごとに新しいマウスピースに交換してくことによって、歯を移動していきます。

「インビザライン」とは、アライナー矯正型矯正装置のパイオニアの企業(アメリカのアライン・テクノロジー社)が開発した先駆的なシステムであり、アライナー矯正を用いて矯正治療する方の中でも断トツで使用されているため、「インビザライン」≒「マウスピース矯正」とのように知られています。

インビザライン・システムは1997年に開発されたばかりの新しい治療法ですが、全世界で900万人以上が治療を受け、その治療データからさらに研究がなされ、治療の質が上がっているとのことですので、矯正治療の新たな治療法として導入される先生も多いと思います。

アライナー矯正で治せる症例は全てでないものの、革新的な治療であることは確かですし、専門医によって治療がされることは良いことだと思います。

しかし、メリットだけではございません。矯正治療は歯科治療の中でもとりわけ専門性を有する分野ですので、歯科医師であるから、誰でもできる治療ではないのです。マウスピース矯正についても、同様であり、ベーシックなワイヤー矯正の知識や経験もなく、後戻りや不測の事態の際にリカバリーもできない歯科医師が安易に手をつけて行うべき治療でないと考えております。

今回の報道では、金銭的なトラブル、また治療途中で閉院などとの問題点がありますが、アライナー矯正自体、治療する歯科医師の知識や経験、患者さんの協力度(患者さんが一日のほとんどで使用しているか否か)にも、治療の予後は大きく左右されます。また全ての矯正症例で適応になるわけでないので、このような問題は、まだ氷山の一角のように感じます。

デジタル技術の進化によって飛躍的に普及している治療ですが、それゆえ慎重にご検討ください。

わからない内容については、遠慮なくご質問ください。

次回は、もともとの予定通り、「親知らず」についてお話しする予定です。

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この記事を書いた人

井ビシ歯科医院

井出 太一

日本歯科大学生命歯学部を卒業、現在は井ビシ歯科医院に務める。

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